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「展評」 ヤン・ライヒ

ヤン・ライヒ (Jan REICH) 写真展 「BOHEMIA」
PLACE M (新宿) 2007/3/19~/25

チェコの写真家ヤン・ライヒの写真展を観る。
1942年チェコのプラハで生まれ、プラハの王立芸術アカデミー(FAMU)で
学んだ後、フリーランスの写真家として、生まれ故郷であるプラハとボヘミアを
大判写真で撮り続ける作家。

ボヘミアの街や田舎の風景を捉えたモノクロの作品。
写真の中には人物は一切出てこない。しかし人の痕跡が存在する。
自然の風景を捉えた写真の中にも、木の柵、積まれた石、あぜ道、
遠くの山の上には古城が、人工的なモノが写し込まれる。

とても静かな写真群。
プリントはややフラットで物足りない感じはするものの、
その場の空気感、湿度、温度を感じるには、ほど好い。
しっとりとしたプリントワークである。

奇をてらったアングル、視点はなく、あくまでも冷静に
故郷を見つめる思考が感じられる。
眼の前に広がる景色を、ニュートラルの視線で
近景から遠景へと、そっと静かにフィルムに落とし込んでいる。
同じように写真集の他の写真からも同じ印象を受けた。

広尾にあるチェコ共和国大使館内のチェコセンターでも
4/12までヤン・ライヒ写真展が開催されている。
http://www.czechcentres.cz/tokyo/novinky.asp
http://www.galerienovysvet.cz/

  # by abephoto | 2007-03-20 18:30 | 写真日記

ノマディック美術館

グレゴリー・コルベール 「Ashes and Snow」
ノマディック美術館(お台場)  2007/3/11~6/24

グレゴリー・コルベール氏が15年間にわたって撮影した
動物と人間の映像と写真の展示。
NY、サンタモニカを旅してきた世界を巡回する移動美術館。
今回の3回目は日本のお台場での展示である。
駐車場スペースに使い古された152個の貨物コンテナを積み重ねる。
色とりどりの市松模様積まれたコンテナーが美しい。コンテナとの間には
白い幕が45度の角度で張っており昼間は太陽の光を受けて輝き、
夜はアンバー系の光でライトアップされ白い幕が輝く。

中に入ると暗いが、すぐに眼が慣れそのダイナミックな空間に圧倒される。
神殿のような空間が安らいだ心持ちにさせてくれる。
ノマディック美術館は建築家の坂茂氏の作品。
神殿や教会など始めはその空間に圧倒され驚くが、祈りやミサをすると
次第に集中し、空間は背景になり意識は(この場合は)作品に集中される。

会場の屋根を支える柱は紙でできている。
紙の柱は写真や照明器具を吊り下げる骨組みの役割も担う。
スクリーンに写される映像や、場内に流れる音楽が心地よい。

板張りの床の周りには鉄道の線路に使われる石が敷き詰められ、
琥珀色の照明が辺りを照らす。スリランカ製のティパックを何百枚と
繋ぎ合わせたカーテンが風でゆらゆら揺れる。
写真は徳島県で作られる手漉きの和紙にプリントされる。
和紙を透過した光で作品を裏から見るとまた綺麗である。

紙の柱、木の床、鉄のコンテナ、敷き詰められた石。
和紙の質感、作品の内容。シンメトリーの回廊。
すべてに調和を感じることができる。


  # by abephoto | 2007-03-18 12:35 | アート日記

「展評」 DAVID FOKOS

DAVID FOKOS展 「無限の調和」
エモン・フォトギャラリー(南麻布) 2006/12/12~2007/1/31


デービット・フォコスの写真展を観る。

ギャラリーの外から展示風景を見た瞬間、マイケル・ケンナの
写真のようだな、というのが第一印象。アメリカのランドスケープフォト。
総てモノクロで6×6のフォーマットで統一感がある。

撮影時に20秒から1時間のスローシャッターで露光をかけるので、
長時間露光により空はなだらかなグラデーションを帯びた平面へと、
海や河、湖の水面は丸みを帯びた平面へと変化し、余計なノイズが
一切無くなり。写真の中には留まっているものしか写っておらず、
静止した時の、視的な面白さを味わうことができる。
19世紀に写真術が発明されてから、長時間露光でフィルムに
定着されたこの像は、写真技法でしか表現することができない。

水平線、地平線のラインが画面の外枠の下上線と揃い、また線路や、
木杭の垂直のラインが画の左右の垂直線と綺麗に揃っている。
隅々に神経を行き届かせ、均衡のとれた空間構成で、繊細さを感じる。

モノクローム作品であるが、プリントには銀塩カラー印画紙が
使用されていることにも注目したい。
展示作品の一部には、プリントの表面に厚さ4mm程のアクリルガラスを
圧着しているので、作品を見る自分自身があまり写りこまず、照明などの
光源が拡散され、プリントが非常に見やすく、作品の内容にもピッタリと
あてはまる展示方法である。


「平面でかつ静止画であること」が写真の定義とするならば、
この言葉の意味がぴったりと当てはまる作品群。
とても綺麗な写真である、と同時に一枚で完結させる強さがあると感じた。


  # by abephoto | 2007-01-09 12:45 | 写真日記

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